「どこに向かっているのですか?」

 目的があるように走っている車にミレアは少しの緊張を覚える。

「私の家に向かっている。落ち着ける場所がいいだろう」

「本当に傭兵なのか?」

 後部座席のアレウスがふと問いかけた。

「何かおかしいか」

「傭兵の動きにしては、素早すぎる」

「もちろん、それなりの訓練はしている」

 言われ馴れた事なのか、肩をすくめつつスムーズに答える。大して傭兵のことなど知らないだろうに。こうも警戒心が強いと、この先が思いやられる。

「何故だ」

「私は大柄とは言えない。体格差のある人間を相手には明らかに不利になる」

 自分に合った闘い方を理解し、理想とする動きにより近づくために常に試行錯誤している。