二人を乗せたダナの機体は、急速にクーフから離れていった。

フォルーシャ号が、砲撃を開始する。

船から打ち出される火の玉が、暗い空に軌跡を描く。

呼応するように打ち返される敵の砲弾。

双方の戦闘機が、翼をもがれて海へと落ちていく。

二人はその全てを背に、暗闇へと逃げ出していた。

天を埋め尽くすほどの星たちも、何の慰めにもならない。

二人の下にあるのは、真っ黒な海。

撃墜されたら、二人を飲み込んだまま、
二度と吐き出すことはないだろう。


「これからどうする?」

「そうね。

この機では直接王都には行けないから、
どうするか決めなきゃ」


背後の戦闘から心をそらせてたずねると、ダナは前を向いたまま答えた。


「ティレントまでは行けない?」

「……無理ね。
燃料がもたないもの……でも、決めるのはこの状態を切り抜けてからね!」