客船メレディアーナは、順調に航路を航行していた。

いっぱいに風をはらんだ帆は真っ白で、船体の優美な姿を強調している。

甲板では乗客たちが思い思いに時間を過ごしていた。

地上数千メートルを、ゆっくりと航行する豪華客船。

この船に乗ることを許される人間は、それほど多くない。

船での過ごし方は変わらない。
それが海路であっても、空路であっても。

皆、のんびりと太陽の光を楽しんでいる。

最新のファッションに身を包んだ女性たちが、甲板を行き来している。

子どもたちが走り回る。
下に落ちると大惨事のため、
ボール遊びは厳禁だ。

ディオは、甲板に並んだ長椅子の上で体勢をかえた。
椅子はしっかりと甲板に固定されている。
万が一にも地上に落ちることがないように。

両隣の長椅子も、
日光浴を楽しむ人でうまっている。

今はあたたかいが、
そろそろ季節は秋にうつりかわろうとしている頃だ。

あと数時間もすれば肌寒くなってくるはずだ。