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「う~……寒いよぉ」



電車を降りると、寒さはさらに増していた。


コートの襟を立てて、腕組みをして、前かがみになりながら歩くアパートまでの道。


うつむいていた私の視界に、くるくると回る赤い光が飛び込んできた。



「ん?」



通りの向こうに目をやると、


消防車を取り囲んで、なにやら人だかりができている様子。



「もしかして、火事? っていうか……ええっ?」



あの辺、私のアパートがあるんですけど!


まさか、私のアパートが火事?



「いや、そんなわけないでしょ」



よく見ると、火の気はないみたいだし。


でも消防車が来ていることは確かだから、


あの辺でなにかが起こってることは事実だよな……。



「え~、なんだろう」



小走りをして現場に到着。


人だかりの後ろから背伸びをしてよ~く目を凝らすと……。



「ええええええっ!!??」



そこから左折したところにある私のアパートが……


アパートの壁が……



なくなっていた。