ちょっと肌寒い春の中学入学の日、あたしは教室の窓から空を眺めていた。


綺麗な青空だなぁ。
雲ひとつない。
こんな空久しぶりに見たかも、



「‥き、咲月っ!!」
「へっ??なっなに?」
「もぉ〜聞いてないんだから」


あたしの名前は咲月(サツキ)。今話かけてきた子は親友のマユ。可愛いくて天然。もてるから羨ましいんだ。



「ごめん、なんの話?」
「だ・か・らっ!!この頃、さくらんぼ君たち人気あるよね」
「そ−だね」


さくらんぼ君はある双子の兄弟のことなんだけど、双子の兄が愁。双子の弟が瞬。顔はあんまり似てないけどいつも一緒にいて、さくらんぼみたいだから、皆に“さくらんぼ君”って言われてる。


「“さくらんぼ”‥って僕のこと?」

「あっシュンちゃんっ、」
「おはよう、咲月ちやん」
「おはよっ、いつ見ても可愛い♪」
「可愛いくないよぉ」


そんなことを話してるとマユが、『うちも話にいれてよ〜』と言ってきた。


「あっ!!そういえばシュウ君は?」
「違うクラスになっちゃってさ」
「そっか♪」
「咲月、嬉しいの?」


そりゃもう最高に嬉しいこと。シュウ君はあたしをからかってくるし、うざいし、うざいし、うざいし、うざいから!!シュウ君はシュンちゃんと全然似てないから困る!


「でも、この頃シュン君とシュウ君ってモテルよね」

マユの一言はあたしも納得した。シュンちゃんは、顔は可愛いし、性格だってあたしの理想の王子様!でもシュンちゃんは“モテません”と言うばかりの顔だ。

「シュンちゃんめちゃモテてるよ」
「僕がぁ〜?」
「そうだよぉ〜」
「なんか嬉しいな、」


顔を赤らめてシュンちゃんは言った。うちもなぜか誇らしかった。