そして、僕の夏休みが始まった。

 絶滅危惧の校長の髪の毛を一月間は見て心を痛める必要でさえもないのか、と安心した終業式。

 夏休み初日の次の日、僕は電話を受ける。

「…もしもし?仁?…うん、あの時の、幹。…ちょっと、頼まれてくださるよね」

 僕の携帯電話にかかってきたのは、一度しか会ったことのない女子生徒からだった。

「もしもし。…仁です、誰?…何の用?…頼まれないかもね」

 僕は取り敢えず彼女の夏休みの計画とやらを聞いた。

「…お前も本当変わってるよな」

 彼女の話を聞いた僕の結論がそれだった。