少年は階段を登っていく姉を最後まで見届けると一階の奥にある自分の部屋へ向かった。


その途中で歩いていたメイドを見つけると、少年は声をかけた。


「ねぇ、姉さんが父さんに呼ばれた理由、知ってる?」


「はい、なんでも旦那様がティイラ様の十四歳の誕生日を期に、跡継ぎについてをお話されるようです」


メイドはにっこりと微笑む。


「ふうん」とサスティンは言いながらも思った。


やはりこの家の次の跡継ぎは自分ではなく姉であるのだと。


しかし同時に納得もしていた。