「えっ」


三人は目を見開き、振り向いてレオルを見た。


「そんな…」


エセルが大空を優雅に飛び回っている黒き怪鳥を見つめた。


そしてその背に乗っている少女を。


エセル達とあまり変わらないだろう年齢のその少女は鳥を操り、ただただ青い空を飛び回っていた。


倒せるはずがない。


自分の肉親、妹なのだから…


今、レオルがどんな想いでいるのかエセルは考えただけで胸が痛かった。


でもどうしてレオルの妹があの鳥に?


いや、自分達を狙っている訳ではないかもしれない。何かの事情があるかもしれない。


しかし、その希望はすんなり打ち消された。


フェリアが真剣な瞳で、空を快調に泳ぐ黒い鳥を見つめながら静かに言った。


「あの鳥は怪鳥"ベーチス"…。別名、人喰い鳥とも呼ばれている恐ろしい魔物よ。あれは命与魔法によって呼び出すことが出来るはず。しかも召喚するには相当な魔力を持っている魔導士だけのはずなのに……」


あの子が呼び出したのかしら?


フェリアの声が響いた。