「昔、ボク達が小さい時、美しい歌声を聞いたんだ。


それは、忘れることなんてできないくらい…美しかった。


不思議なことに、海の方角から聞こえるんだ。


レオンは言ったよ『こんな歌声を持つ人なんて、いない。きっと人魚だ』ってね。


ボクは信じられなかったけど、レオンは信じてるみたいだ。


あれから、毎日歌を聞いた場所に行っていたし…


今では、レオンは毎日と言っていい程、海を眺めているよ」



―無意識なんだろうけどね。


そう言ってメルはクスリと笑った。