―先生目線―





「おい、待てって。何があったんだ?」



突然、店から飛び出したタカの腕を掴んだ。



今日一日一緒に行動していて、タカは穏やかで落ちついた印象しかなかった。


そのタカが大きな声で怒鳴ったってことは、何かあったに決まってる。


相当怒ってるんだろう。




俺と直は、あんな風に喧嘩したことはない。



俺は直に対して、きっと一生怒鳴ったりしないと思う。




夜の北海道は、肌寒ささえ感じるほどだった。


風が強く、火照った顔に心地いい。






「頼りないって言われたんです。酔ってるからかも知れないけど…… 私のこと好きって感じがしないとも言われた」




「それは辛いな。タカは俺や真崎君とはタイプが違うから。人前でキスとかできないタイプだろ?まぁ、俺もできないけど」




店の前にあったベンチに腰掛けた。