ケータイ小説 野いちご

【いちご塾】課題提出帳【桜璃】

【12月第3週課題(A)】街を描く

神聖大樹・オーヴ。
それを支えるように座する高みの丘の周囲をぐるりと囲むように、スターレインの街は存在する。

神聖大樹の名の通り神の化身と崇められるオーヴを有する街は、国と変わらない規模を持ちながら国ではない。
神の魔力に護られた完全中立地帯とされる為だ。
それ故東西南北に目印のような門柱は在れど、外壁は存在しない。

門柱から高みの丘に向かい伸びる四本の大通りはそれぞれの区画を区切る目印も兼ね、馬車が通れる様石畳の舗装が施されている。
そこから木の枝が伸びるように、石畳の路地が広がっているのだ。

二階建てが目立つ建物の壁は白く、斜めに据えられた屋根は赤茶けた色で統一されている為か、高みの丘から見下ろした事の有る人々は皆口を揃えて圧巻だったと感動を語る。
そんな風情だ。

海から遠いせいもあり魚を売る為には魔導氷結が必要不可欠な為店は数える程だが、その分肉類やパン、農作物、加工品や工芸品等を売る店が数多く有り、昼間の大通りはいつも活気に溢れている。
女性達はお喋りに花を咲かせ、客引きの威勢の良い声が聞こえたかと思えば子供達ははしゃいだ声を上げて走っていき、ゆったりと歩く老人達を追い越していく。
静かではないが、優しい時間が流れていくのが日常。


そんなスターレインの街が年に一度、人々で溢れかえる日が有る。
それが、星の欠片の咲く日。


その日ばかりは大人も子供も男も女も旅人も冒険者も皆、夕陽が沈むと灯りを吹き消し外に出て空を見る。

漆黒の闇に包まれた街から望むオーヴの、まるでその身に宿す魔力が溢れるような小さな無数の光の粒が枝に宿り、弾けるように一斉に散って空を舞うのだ。

その様はまるで、星の欠片が一斉に咲いて降るようだと。
視界を埋め尽くす咲いた欠片の美しさと光の暖かさに、人々はオーヴの加護を感じる事が出来るのだ。


いつもと変わらない賑わいを見せる街を見下ろす空は蒼く澄み、オーヴの青々と茂る葉の色を際立たせる。
しかし大通りを行き交う人の波は少しずつ、その量を増してきた。



星の降る街・スターレイン。


今年もまた、星の欠片が花開く。



 

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