佐藤が連れてきたのは、神戸にある南京町だった。


土曜だけあって、人通りは多く、賑わっていた。


佐藤は、

『秋は寂しくて嫌いだ。』

と呟いた。

未來にはその意味が少しわからなかった。

佐藤はそれだけ、未來と歳が離れている。


『未來ちゃん、何食べたい?』

佐藤は笑顔で未來に聞いた。

『なんでもぃぃ。』


未來は食事など、どうでもよかった。


『じゃぁ、あそこに入ろうか。』


佐藤は一軒の中華料理屋を指さした。

店に入ると、佐藤は未來を出来るだけリラックスさせようと、冗談を言ったりした。

店を出るころには、未來は大分落ち着いていて、佐藤の言う冗談を笑顔で返していた。


車に戻り、帰る方向に車を走らせていた佐藤だったが、高速に乗らずに、高速脇にあるラブホテルに入って行った。


さっきまで、笑っていた未來は、一瞬で固まってしまった。

しかし、昼間のように言葉を発することすら、未來にはもぅ、できなかった。


佐藤と並んで未來は部屋に入った。