『おじょうさん、おじょうさん、お困りだね?』



「い、いいえ」



千夏(チナツ)は、ひたすら


通り過ぎようとした


ただ


道をいつものように

下を向いて


歩いていただけだ


すると


背中の折り曲がった

男女


どちらかわからない

老人に声をかけられた


いや


かけられてしまった