コテージで、お互いをシャワーで洗い、ホットワインを飲み、僕達は身体を温めた。
「逢いたくて仕方なかった」
横顔の彼女は悲しそうに微笑んでいた。
もう、離したくはない彼女を、僕はきつく抱きしめた。
運命の彼女を。
コテージには、湖と月の絵画が飾られていた。

ベッドでの彼女は、僕との思い出を身体に焼き付けるかのように、激しく唇、首、背中、胸そしてペニスを吸っていた。
夜が更けていく。
…イッテしまいたくない。
オルガズムの波を我慢したのは、彼女と一緒にイキたかったからだ。
ようやく、彼女の口から「イ…ク…。」
彼女の体が一瞬煌めいたのか、僕の興奮が頂点だったのか、僕は生まれて一番の快感を味わい、視界が真っ白になった。

はっと我に返った僕は、会社を出て、雨に濡れそうになっていた。
あの日から、ずっと時が止まり、僕は夢を見ていたのだ。

慌てて会社へ、置き傘を取りに戻った。
以来僕は、どんな晴天でも、折り畳み傘を持ち歩くことにしている。
あんな狂おしく切ない思いは、一生に一度で十分だ。
こうして僕はいつも、バーでブルームーンを寂しく飲むこととなった。
壁には、湖と月と横顔の女性の絵が飾られていた。