ケータイ小説 野いちご

成長する






美幸は初めて、学校をサボった。

いったいどうすればサボれるのか、サボるための手順やコツはあるのか……。

決してサボりたいと強く願ったことはないが、そんなことを考えてみたことはある。

だから奈美に「抜け出すわよ」と言われた時から、ずっとドキドキしていた。

のだが、実際は、呆気なかった。ただ何食わぬ顔で帰り支度を整え、だれにも告げず学校を出たのだから。

内心は初めての悪事に依然ハラハラしているというのに、やっていることはひどく薄味に思えた。体験が想像を超越するのも、想像から暴落するも、よくあるのだ。

奈美は慣れているのだろうか。まだ学校のあっている時間に制服姿で街を歩くのを、どうとも思っていないらしい。毅然とした歩みで、どことも教えられていない目的地へ美幸を連れていく。

目的地というのは、琴美を殺した犯人の琴を相談できる人物の家である。なぜ、どうして奈美が、そんなことを相談できる人物と知り合いなのかはわからないが、奈美が断言するのだ。

「彼女ならきっと、私達の力になってくれる」と。

もっとも、相談しに行く人物が女性であること以外は、さっぱり謎のままだが。

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