あの日から、日曜日にはジョゼをはじめとする数人の伴天連によって建てられた南蛮寺に出向き、ミサをする。そんな新しい日常が始まった。

「今日のミサにはフロイス様もいらっしゃるのでございます。」

どこか緊張した面持ちのジョゼ。聞いたことのない名前に、疑問符が彼女の頭に浮かぶ。

「フロイス様は、信長様に気に入りられている伴天連で、私は彼と共にこの日ノ本に参りました。」

「…左様でございますか。」

―信長殿は昔から何事も興味津々で、新しいモノには目がないと評判ですが、それは誠なのだな。

千与は小さな苦笑いをした。