あの時、由親と星空を眺めたあの時から、千与は戦の目的を考えるようになった。

無血で、決着を着けることが何故出来ぬのか。
人間には言葉がある。それなのに、何故戦は後を絶たぬのだ?

そんなこと、武士の娘が言うのはやはりおかしい?
でも、千与にはそれが疑問だった。

また今日も、あの土手に来て空を眺める。風が心地よく吹き、千与の漆黒の髪を揺らす。
暖かい気候に、千与は芝生の上に寝転がる。

視界には雲一つない快晴。その青はどこまでも澄んでいて、どこかこの血生臭い地に勿体なく彼女は思うのだった。