燃え盛る炎。

叫び、悲鳴、何かが壊れる音。

血の匂い。

供は一人減り、二人減り、最後に残ったのは、常にユーリに付き従ってきた護衛であり守り役でもある青年と、青年の弟だけになってしまった。

「ユーリ様、こちらへ」

その言葉に応える間もなく、青年はユーリを抱え込むようにして、崩れかけた城壁の隙間に身を潜めた。

走り抜ける複数の足音をやりすごし、小さく吐息をついたが逃げ場はない。

ついに追い詰められたその場所で、青年はユーリの髪を切り、着ているものを弟のそれと交換させた。