「杏奈!どしたん?大丈夫か?」


「杏奈が体育休むなんてありえへんやん。唯一の得意科目やのに!」


「やっぱ大雅に何かされたんか?」




心配してくれる3人に……


ごめんとだけ言い残し、私はあの部屋へダッシュした。





おるんかな?


まだ5時間目始まるチャイム鳴ってへんけど。




あんまり早く着いたら、また張り切ってるとか思われるやん。




「何、張り切っとん?そんなに走ってまで俺に会いたかったん?」




あああああ。


見つかった。




「ちゃうわ、あほ。この部屋に入るところ誰かに見られたら嫌なだけやもん」



「それって、俺と二人だけの秘密がええってことやんな?結局、俺に夢中ってことやんけ」



「うるさい!!とにかく入ろ!!あんたと話してるとこ見られたらやばいから」





張り切ってると思われて当然。


だって、ニヤけた顔が戻したくても戻されへん。





私は、大雅の筋肉質なのに細めな腕をガシっと掴んで、美術室の中に入った。