―幕末・壬生浪士組屯所―

近藤と土方は近藤の部屋で話をしていた。

「総司の事だが…」

すると散ったはずの桜の花びらが二人の間にハラリと落ちる。

「桜?」

土方が不思議そうに手に取ると

ドスン!

大きな音を立て“何か”が降ってきた。

近藤と土方は間一髪のところで“何か”を避ける。

「なっ、何だ?」

二人が“何か”をよく見ると…

「「総司!」」

降ってきたのは沖田と桜夜だった。

「…い、痛い」

桜夜がおしりを擦る。

「痛いのは私の方です。早く下りてください、桜夜」

沖田が桜夜の下敷きになっていた。

「うわっ。ごっ、ごめんっ」

慌てて下りると沖田は着物をパンパンと払い、辺りを見回す。

―あぁ、やっと帰ってきました―

「ココ、ドコ?」

桜夜が聞く。

―あぁ、桜夜を連れて来てしまった―

「何故あの時に手を離さなかったのですか!」

沖田が声を荒げた。

そんなに怒鳴らなくてもいいじゃん。

つーか、勝手にいなくなろうとしたくせにっ。

そう思うと桜夜は段々腹が立ってくる。

「何よっ!総司が勝手に居なくなろうとしてんのが悪いんじゃん」

「だからと言って付いて来る事はないでしょう!」

―こんな危険な時代に―

「はぁぁぁ?だいたい、総司が竹刀を忘れたんじゃない」

「持っていこうとしましたよ。でも、仕方ないでしょう」

「仕方なくないっ!約束したのはそっちじゃんっ」

生きてほしいってお願いしたのに…

「哲くんが現れて気を取られてしまったのです」

「哲のせいにしないでよっ!自分のせいでしょっ!守れないなら約束しないでよ」

まるで子供の様に言い合いをしている二人を、ポカンとした顔で見ている土方と近藤。

いつまでも続きそうな言い合いに、とうとう土方が口を挟む。

「おい、総司。落ち着け」

沖田はキッと土方を睨み

「うるさいですよ、土方さんのくせに!」

と、言い返すと桜夜とまた言い合いを始める。

本当に治まりそうにない喧嘩に土方は沖田と桜夜にゴツンと拳骨を落とした。

「いい加減にしねぇか!」

そこで沖田と桜夜は我に返った。