ケータイ小説 野いちご

桜の下で ~幕末純愛~


―文久四年・元治元年―

新年がやってきた。

桜夜にとっては目を覆いたくなる事件もあったが、無事に新しい年を迎える事ができた。

皆、朝から呑み通しだ。

うぇ~っ。私はあと何回臭いで酔うんだろ…。

外はすっかり雪景色に変わっている。

いつもの様に縁側に座り、酔いを冷ます。

京都って、夏は暑いし冬は寒いし…火鉢じゃ足んないよ。

でもキレイだな…。まだ足跡付いてないし。

ってなると付けたくなるよねぇ。

桜夜は新雪に足跡をつけ始める。

つい夢中になって遊びだしていた。

「風邪ひきますよ。びしょ濡れじゃないですか」

沖田が現れる。

「………」

子供っぽいとこ見られちゃった。

足跡だらけの庭と濡れた着物を見て恥ずかしくなる。

沖田はそんな桜夜を見てクスッと笑う。

「初詣に行きましょう。早く着替えて下さい」

二人は初詣に出掛け、帰りはいつもと違う道を通り、河原へ寄り道をした。

「さっむい!ムリ、ムリ。帰ろーよっ」

何もない河原は風が吹き抜け、桜夜はとてもじゃないが居られない。

「景色を楽しむという事はできませんかね…」

そんな余裕のあるアナタはある意味異常ですっ。

屯所への帰り道、桜夜は思いがけない文字を目にした。

【池田屋】

池田屋…もしかしてここがあの池田屋?

総司が喀血するあの池田屋事件…。

桜夜の顔色がみるみるに青ざめていく。

そんな桜夜を見て沖田は驚いた。

「桜夜?どうしました?」

「寒いよ…」

沖田は桜夜を連れて急いで屯所へ戻った。

屯所へ戻った沖田は桜夜を布団へ寝かせる。

「大丈夫ですか?風邪ですかね」

池田屋を見たからなんて言えない…

「調子に乗って雪遊びし過ぎたかな…少し寝るね」

桜夜は布団を口元まで上げる。

「そうですね。ゆっくり寝てください」

沖田は部屋を後にした。

ダメじゃん、私。

あの時に決めたじゃない、強くなるって。

池田屋事件は変えられない事実。

そこで総司が倒れる事も…。

だったら、ちゃんと見届けなきゃ。

それが分かってて総司の側に居たいって思ったんだから。

桜夜は布団を頭から被った。

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