少女はまだすすり泣いている。

行く場所も帰る場所もなくて、この先どうしたらよいのか分からないのだ。

そして、誰にも頼ることの出来ない、心細さ。

私にも分かる。
私もそうだったから。



あの日、二年ぶりに家に向かいながら、そのときはまだ私は、そこを帰る場所だとは思っていなかった。

ちょっと立ち寄って、またすぐに、東京へ戻るつもりでいた。


しかし私は、その日からまた、母と暮らすことになる。


  *   *   *