後部座席で、ケイトは2人の後ろ姿を交互に眺める。

 本当は気付いている──私の身を案じて、厳しい態度を取っていることに。

 私のしている事が間違っていないこと、そして彼らもまた、私とは違う方法で戦いの中にいる人々を守っていることを……。

 私には、彼らのような“牙”は持てない。代わりに言葉がある、文字がある。

「ごめんなさい」

 ぼそりとつぶやいた言葉に、ベリルとノインは笑みを浮かべた。

「今抱えている依頼は村人の救出だ」

「!」

 それにノインが付け加える。

「勘違いしないでね。ついてくるなら、内容を知ってもらってないと困るからよ」

 場所は中東──内戦が激化し、広がった戦場に取り残された村人たちを救って欲しいと国から正式に依頼された。