休んでいる暇はなかった。

携帯が切れた直後から、俺は走り出す。

写真まであるとなると、九条が拉致されているというのは本当のようだ。

最初は手の込んだ悪戯かと思っていたが、もう疑いようがない。

…走りながら、俺は少し後悔していた。

メアドを勝手に調べられたくらいで、ふったりしなければよかったのか?

そうしたら…せめて友達程度になってやれば、九条は泣きながら帰って、その帰り道にあんなチンピラどもにさらわれるなんて事にはならなかったのか?

こんな大変な事態になった事が、全て俺の責任のような気がする。

どちらにせよ、九条を助けられるのは俺しかいなかった。