その女性はこちらを見て、蒼白とした表情をしていた。

夜更け。

森林地帯を横切るようなワインディングロードの途中。

運悪く彼女は、走行中の車から『それ』を見つけてしまった。

…機体の高性能の集音マイクが、車内の彼女の呟きさえも拾い取る。

「な…何あれ…!」

やれやれ。

本意ではないけど…目撃されたからにはただでは帰せない。

僕は仕方なく、機体コクピットのスイッチを一つ押した。

機体底面が発光し、そこから青白い光が放たれる。

彼女を包み込む光。

その光は、まるで無重力にでもなったように、車内の彼女だけを宙に浮かせる。

彼女の体は上空へと舞い上がった。

風船のように。

緩やかな速度で、しかし彼女の意思とは無関係に。

恐怖を感じたのか、彼女は空中で意識を失った。

僕は彼女を機体内部へと収容し、そして…!