「ああ、もう!」
セクシーな格好をしたキャラがステージの上に倒れてしまった。
今ので最後の百円玉、かといって両替に行くのもめんどくさい。
あとちょっとでこっちが勝ちだったのに。
向かいにいるであろう人物に軽く舌を出してから立ち上がる。
「へー、めずらしい人見っけ」
ボロボロの椅子を直しつつ振り返って私の目に映ったのは。
金髪、複数ピアスの有名人。
「上手く化粧してるけど、かいちょーでしょ?」
間の伸びた会話、一番苦手なタイプ。
まさかこんなところで出会うとは思わなかった、いやこんなところに彼はいそうだけれど。
「人違い」
「んなわけないよねー。一応俺だって生徒会長さまの顔ぐらい知ってんよ?」
面倒なことになったな。
そう思いつつ足早にその場を立ち去る。
鳴りやまない騒音の中、そいつはにやにやとした笑みを浮かべながらついて来た。