紗依は伊能先生と同じ空間にいることが嬉しくて仕方ない。



「い…伊能先生?」
「鈴奈」
「川口」


鈴奈は拓也と名前で呼んでいたから

『伊能先生』

と呼ぶことに慣れない。
いつも、止まったり、語尾が小さくなったりする。