___ 今朝、


彼女とあまり話しも
出来なかった。

ウチのマネージャーが
予定より早く
迎えに来たからだ。

玄関を出ようと
彼女が俺にドアを開けた。

でも、俺はそのドアを
また押して閉める。

そろりと顔を上げた彼女を
少し覗き込むと影になった。
そして
言葉を選びながら口に出す。


「俺に言う事、あるでしょ?」

「・・・夕べは、
申し訳ありませんでした。」


俺の顔から視線を落とし、
真っ直ぐ前を向いたまま
謝罪した。

俺はそれさえ聞けば
満足だったから構わない。


「よし・・、もう忘れよう。」


今度は俺が彼女の為に
ドアを引いた。

マネージャーには
昨日のうち電話で話してある。

なのに彼女を見て、
中年の彼が驚いた顔をしてた。

女の子だとは
云ってなかったっけ?

そう、元々俺は
女を雇わない主義だったから。


「シア、先に乗って。」


ドアを開けてやったのにも
いちいち驚いてやがる。

マネージャーは俺に耳打ちだ。



「同居? 女の子の付き人は
マズイんじゃ?」

「あんなのが女のウチに?」

「え。」

「冗談云ってないで
早く行くよ。」



このキャラクターの俺は、
こんな事を
平然と言ったりする。

隠したりするから
騒がれるんだ。

それに実際、見た目の
彼女は子供みたいだったし。


( ま・・脱いだら
イイ感じだったけど )



この日、
バラエティの2本撮りの為
始動時間早めの
朝八時半にスタジオ入り。

もちろん付き人である
シアも一緒だ。

夕べの事など
もう忘れたかの様に、
俺や、
マネージャーの言う事に
キチンと耳を傾けている。

緊張しているのか?
シアは誰にも
愛想笑いさえ見せない。


無難に
関係者に会釈をするだけだ。

訝しげに彼女を見る、
共演者もいるほどだった。


ただ忠実に俺の傍に居るだけ。
あれこれ
世話は焼いてくれるが
実に事務的で・・
いい気分ではない。


「シア!?」