廊下中に響き渡るような悲鳴が聞こえて、オレは上を見上げた。
階段の上から、女の子が後ろ向きに降ってくる。
一瞬、何事かと考える暇があった。
それはスローモーションのように起こり、制服のスカートを翻して降ってくるのが、オレの憧れの、鈴菜ちゃんであることがわかった。
どうやったらあんな器用な落ちかたが出来るのか謎だな。
でも、確か、彼女は、恐っそろしくトロいとか聞いたことがある。
とにかく、このまままともに落ちたら、大惨事になるだろう。
オレはそう思うより早く、鈴菜ちゃんを受け止める体勢に入った。
ドンっと、胸に衝撃があり、鈴菜ちゃんをしっかりと受け止めて抱きかかえたまま、オレは後ろ向きに倒れた。
廊下にもろにしりもちをつき、廊下の素材上思い切り滑って、後ろにあった壁に背中と頭をしこたま打ちつけて止まった。
「痛っててて」
思わず呟いた。
けれど、腕の中の柔らかな塊のほうが気になった。
「大丈夫?」