演説から一週間が経ったところだろうか。

あの後、俺はすぐさま寝たので、家での疲労を負う事はなかった。

そして、翌日からは変わらない生活が待っていた。

ティアに色々とツッコミや料理の指導を行い続ける。

物覚えは悪くはないほうで上達していく。

性格は一切変わらなかったけどな。

そして、昼間の仕事や夜の日本の説明もかかさず行った。

子供達や大人達も段々、聞く態度が変わっているのが解った。

それのせいか、俺に話しかけてくる村の妖魔も増えてくる。

変わった事といえば、それくらいだろうか。

しかし、チェリーやカメリアとの接触は少なくなってしまったかもしれない。

俺としては村人と仲良くなるのも構わないのだが、あの家族との接点を切りたくなかった。

だから、今日はカメリアの家にお邪魔しようかと思っていた。

朝。

外に出ると、カメリアの姿を見つける。

「よ」

「あら、お兄さん」

俺を見つけても変わらずな態度だったが、変に距離をとられるよりはマシだろう。

「久々な感じがするな」

「お兄さん、一夜で人気者になっちゃったからねえ」

「人気者にならなくても良かったけどな」

「寂しくなるからかい?」

「かもしれないな」

「それを聞いたら、皆喜ぶだろうねえ」

久々のカメリアの笑顔に癒される。

「でも、俺を信じてくれているカメリアやチェリーと別れるのはもっと寂しく感じるかな」

「おやおや、口説きにかかるのは相変わらずだね。お兄さんは私に何を期待しているつもりだい?」

「実は、今日の晩飯はカメリアの手作り料理を食べたいんだ」

自分の考えと違ったのか、カメリアは一瞬時間が止まった。

「お兄さんから直接お願いされたとあっちゃ、頑張るしかなさそうだ」

大人なだけあって、切り替えは早いらしい。