「おい田中知ってるか?」
「何、阪本君」
「サンタクロースの事を」
「うん、知ってるよ。サンタっていうのはね。4世紀頃の東ローマ帝国小アジアの司教(主教)、キリスト教の教父聖ニコラオス(ニコラウス)の伝説が起源であるんだ。「ニコラオス」の名はギリシア語表記なんだ。ラテン語ではニコラウス。イタリア語、スペイン語、フランス語ではサン・ニコラで。イタリア語ではニコラオとも言われ。ロシア語ではニコライと言うんだ。そうだね。有名な話では、無実の罪に問われた死刑囚を救った聖伝も伝えられているよ。こういう話しね。ある日ニコラウスは、貧しさのあまり、三人の娘を嫁がせることの出来ない家の存在を知ったんだ。ニコラウスは真夜中にその家を訪れ、屋根の上にある煙突から金貨を投げ入れたんだ。すると、このとき暖炉には靴下が下げられていたため、金貨は靴下の中に入っていたと言われてるんだ。この金貨のおかげで娘の身売りを避けられたという話しなんだ。靴下の中にプレゼントを入れる風習も、ここから来ているんだよ。他にもね、ニコラオスは学問の守護聖人として崇められているんだ、アリウス異端と戦った偉大な教父でもあったし。教会では聖人として列聖されているため、「聖(セント)ニコラオス」という呼称が使われてるね。これをオランダ語にすると「シンタクラース」なんだよ。オランダでは14世紀頃から聖ニコラウスの命日の12月6日を「シンタクラース祭」として祝う慣習があるんだ。その後、17世紀アメリカに植民したオランダ人が「サンタクロース」と伝え、サンタクロースの語源になったそうだよ。正教会系の国では、サンタクロースは厳密に「奇蹟者」の称号をもつ聖人たる聖ニコラオス(聖ニコライ)であり、聖ニコラオスの祭日は12月6日なんだ。子供たちがこの日に枕元に靴下を吊るしておくと、翌朝に入っているのはお菓子さ。クリスマスである12月25日は聖体礼儀に行く日で、プレゼントはないんだ。