ある日、テスト対策でいつもより仕事が遅くなり、22時を過ぎた頃にようやく学校を出た。


学校から自宅のマンションまでは車で通っている。

でっかい四駆のランクルだ。他の車はどれも高級車すぎたため、この車しかなかった。
スノボへ行く時に使ってたくらいだから、生徒のイタズラで傷付けられても問題ないという計算もしている。


夜道の中、車を走らせる。住宅街のため、他の車や歩行者もほとんどない。

スーツのボケットを探り、煙草を取り出す。


「チッ……切れてる…」

空の箱をグシャっと潰す。


近くにあった売店の前に車を停め、自販機で買った。
煙草に火を付け、車に戻ろうとした時、



「…………ぃゃ!!…」


微かな女の悲鳴が聞こえた。