ケータイ小説 野いちご

あやつりの糸

◆損と得
形勢逆転

 朝──ハロルドと共にベリルの部屋に向かうトラッドに口を開いた。

「昨日ベリルと何を話していた?」

「監視カメラを見れば解るでしょ」

「お前たちの声が小さくて聞き取れなかった。もっと感度を良くせねば」

「父さんの思想を説いてただけだよ。少しでも暇があるなら言った方がいいでしょう?」

「む、そうか。それなら良いが」

「……」

 本当はマイクのボリュームをトラッドは下げていたのだ。

 彼とゆっくり話をしたかったから。

「!」

 嬉しそうに入ってきた老人にベリルは眉をひそめる。

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