夜の隙間から冷たい雨が降り出した。


その雨は辺り一面をあっという間に濡らし、いくつもの水溜まりを作った。


そんな冷たい雨が降りしきる中…


俺は赤い血で染まったナイフを右手に握り締めていた。


濡れた髪の毛から滴り落ちる雨の雫のように…


右手で握るナイフからは赤い血が滴り落ちていた。


“霧雨修二(キリサメシュウジ)”


それは俺の名前。


そんな俺の目の前には今、一人の男が倒れている。


その男の側の水溜まりが、次第に赤く染まって行く。


時間と共に…。


この事件が


この事件が全ての始まりだった。


そう、全て始まりはここからだったんだ。