「リュオさん……牙、が……痛いです。」






「たててないぞ?」






「……私の血を吸っちゃうんですか」





声が震えた。






ほんの少しチラつかされた脅しに、堕ちていく私。







「さぁ?どうだろう。」






まだ私の首筋にリュオさんの牙がある。




その牙はこわい、けど。





リュオさんの声は、また優しいもので。









……どうしたらいいのか分からなくなった。



そんなとき、リュオさんの肩越しに見えた黄色い大きな月に目を奪われる。





あんな大きな月、初めてみた……。





現実逃避しかけた脳が、再びある疑問を浮かばせる。





いくら月が綺麗に見れるところでも、こんなに大きな月をみることは出来ない。


……ここ、どこだろう?










「……リュオさん。ここ、どこですか…………?」








首筋にあてられた牙への戸惑いよりも、疑問が勝ったのか、さっきまで震えていた私の唇は簡単に動いた。








「……魔界」








……は?






ん、?




え?