それから1ヶ月後…――




「本当にお世話になりました。

ここで働く事が出来て、本当に楽しかったです。

皆さんと会社の発展を心からお祈りしています。

ありがとうございました」


短くていて凄くまとまりのある言葉に、一人でジーンときながらも。



深々と一礼をして顔を上げれば、盛大な拍手で門出を祝福している経理部の人。




あんな威勢の良い退職宣言をした、私へ向けたモノではなく…――




「美紀さん、本当にありがとうございました!」


「鈴ちゃん、涼ちゃん、ありがとう…!」


そう…、私たちからの花束とプレゼントを受け取った美紀さんだ。




まさに今期もまた無事に、年度末の決算を乗り切った節目のトコロで。



ベテランの美紀さんは役目を終えたように、今日退職して行くのだ。




ずっとずっと大好きで、想い続けていた人の許へと―――