曖昧でいて優しい彼が教えてくれる、“愛する”幸せ。



ただの上司だった彼が変化遂げて知った、“愛される”幸せ。



決して目には見えなくても、私の中で着実に息づいてるからこそ。



輝への気持ちは絶対に譲れないし、輝の隣の席を明け渡すつもりもないの。




これこそが、何の取り柄もない私の誇れるモノだもん・・・





「…おはようございます」


しがないOLが2度もタクシーを使う訳にもいかず、今度は電車で到着した会社。



カタ、カタ…と、独特の音で包まれた経理部内へと足を踏み込むと。



遅刻という悪行にペコペコ頭を下げながら、足早に自分のデスクへと向かう。





「あー、鈴ちゃん遅い!」


「わわっ、美紀さん…!」


「まったくもう、何やってんの!?」


「す、すみません…!」


新人のクセに重役出勤か!?と、言わんばかりの美紀さんの表情。




この威圧感は“お局さま入り”決定だよ、数年もしない内にね・・・