“行こうか――?”


そうして差し出された手を取った、何も知らなかったアノ頃の私。




輝の誘いがなければ今まで通り、のらりくらりと過ごしていたハズで。



上司の彼から告白された時は信じられずに、真っ先に不安が募ったのに…。




今は彼が上司という理由で生じる心配や不安すら、平気だと笑えるくらい。



大好きなヒトが傍にいるコトは、何よりも幸せだと知れたの。




ううん…、輝がその全てを教えてくれたんだよね…――





「美紀さん、お願いですー!」


「あのねぇ…、ムリって言ってるでしょ?

明日の為に、“お家deビューティーDAY・フルコース”だから!」


明日への気合いを漲らせるネーミングに、チョッとだけ引きつつも。



「ダメなんです、今日じゃなきゃ…!」


両手をパンと音を立てながら合わせて、まだ懲りずにお願いする私。