あの後、あたしの足は自然と愛村のいる病院のほうへ向かっていた。 電話を切ってしまったことを謝りたいのもあるけれど、 もっと単純な理由。 ただ、愛村の声が聞きたい。 サァァと風が吹く春。 修学旅行まであと少し…。 「……お母さん…」 風を感じると、 決まって母のコトを思い出す。