後にキョウスケと名乗るようになる少年は、自分が周囲の人間とは異なっていることに気づき始めていた。                                   
「やっぱ早くヤリてぇ」                         
「だよなぁーやっぱ気持ちいいんだろうなぁ」                           
 男子中学生の日常的な会話の中にキョウスケはいた。この頃の少年達は自慰を覚え、性交渉に憧れを抱き話題の中心になる。                           
 変ではなく、むしろ健全なものだ。                               
 そんなありがちな会話にキョウスケだけがついていけなかった。                         

 自慰や性交渉を知らないわけではない。                                 
 ただ興奮対象が周囲と違っていた。