「は…?」




ざわつく会場に俺の声が響く。

一斉に振り向く周囲に対して苦笑いをしながら軽くお辞儀をすると、俺はケータイを耳に当てたまま控え室へと逃げ込んだ。




「今、なんつった?青木」



「だからな?

結構前から決まってたんだけど、用事入ってさ。

今日桃夫人のパーティー行けなくなったんだよ」




俺はマイペースな青木に呆れ返っていた。


青木達也。

菅谷グループと同じくらいの経済力を持つ、スカイラルグループの若手社長。


俺と青木は、いいライバルでありながら、いい友人として交流を深めていた。




「分かった。

桃に伝えとくわ」




俺が溜め息をつきながらそう答えると、電話越しに青木の何か思い出したような声が聞こえた。




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