自身は困っていた。

ルシが自身のベッドに潜り込んで、そこから動かないからだ。

「ルシ、あっちにルシの布団、敷きましたよ。あっちに行ってください。」

「やだ。俺は、今日もツキヨと寝るんだ。今までずっと一緒に寝ていただろう?」

ずっと来客など無く、よって予備の布団が無かったから、無いものは仕方無い…と、仕方なしにルシと同衾していたのだ。

この場合の同衾は、肉体関係という意味は一切含んでいない。念の為。

そして、ようやく新しい布団を今日、一組買ったのだ。

「一人で布団はいやだ。ベッドでツキヨと二人が良い。ツキヨは俺と寝るの、嫌なのか?」

嫌…でもないのだ、実は。

時候は、そろそろ冷え込む季節。
特に厳しくなってきた、早朝のそれを、ここ最近防いでくれているルシの体温は、手放し難かったり…する。

故に、ルシを強く否定も拒否も出来ない。

「嫌でも良いから、ツキヨは俺と一緒に寝るんだ。」

答えずに突っ立っている自身に、痺れを切らしたのか、グィっとルシにベッドの中へと引きずり込まれた。