鼻につく、黴臭いような臭い。

"影"の血は、いつも黴のような埃のような古臭い臭いがした。

青く、夜闇にうっすら輝く刀身を一振りすると、刀に付いていた"影"の血が地面に滴り、微かな跡を残して消えた。

それから、刀を鞘に収め、縦にして手のひらに押し込む。

質量を無視し、自身の手に刀が収まる。

手ぶらになった自身は、戦いの邪魔になるからと投げ出した荷物を拾うため、歩き出した。