あの日から一週間が過ぎたが、だからって学校では互いに、立ち止まって話をするというわけでもない。


目が合うと「おはよ。」とかは言うものの、あたし達は携帯の番号さえ交換していない仲だ。


だからこれと言って何かがあったわけでもなく、毎日は相変わらず、何となくで過ぎて行く。


ママはダメダメっぷり健在って感じだし、ヒロトも鬱陶しいくらいにあたしを呼び止める。


樹里はそんなあたしとヒロトをくっつけようとしてるみたいだし、沙雪は楽しければ何でも良いと言った感じ。


学校は、やっぱり疲れる。


そんな中にあって、あたしは勇介の観察を始めた。


いつもひなたぼっこのついでにと自分自身に理由付けをし、窓から外を眺めながら、彼の姿を探している自分がいる。


ヤツはふざけ合ってる友達を見て笑ってたり、女の子に声を掛けられてたり。


一見すれば人気者っぽいが、いつも自分から何かをするというわけでもなく、受け身なのだ。


周りの連中だけが騒いでる、って感じで、やっぱりあたしと似ているのだろう。



「奈々、何見てんの?」


同じように樹里が横から窓の外を覗く。



「あそこの鳥見てんだよ。」


そう言って校庭の隅の木々から羽ばたくそれを指差したのだが、ふうん、と彼女は笑う。


樹里ってヤツは、とにかく勘が良いから嫌だ。



「奈々ってさ、隠しごと多いよね。」


「樹里もじゃない?」


「まぁ、沙雪に限ってはわかりすいけど。」


あたしは笑った。


沙雪はいつもべらべらと自分のことを語ってくれるが、樹里はあたし以上に隠しごとが多いと思う。



「ねぇ、アンタ好きな人でも出来た?」