ベッドのスプリングは卑猥な音を響かせながら、まるで悲鳴を上げるあたしのように鳴いていた。


男の前髪がぱさりと落ち、肌を撫でるように滑りながら、その隙間から覗く瞳にぞくりとさせられる。


彼の体を引き寄せるように腕に爪を立てると、目を細めたように見下ろされた。



「そんなに俺が好き?」


それはあたしの体を貪っている男が言って良い台詞ではないだろうに。


だけども言葉には出来ず、代わりに漏れてしまった嬌声に気を良くしたのか、彼はあたしの口を塞ぐようにキスを落とす。


元々飲み過ぎたアルコールも手伝って、正常な思考なんてとっくの昔にとろけているんだ。



「可愛いね、奈々は。」


ひどく冷たい瞳に似合わない、柔らかな口調。


口元に笑みを浮かべながら、この人はキスばかり落としたがる。


逃げるように身をよじり、波打つシーツを掴んでみても、その手は容易く捕えられる。


肌を絡め、熱を混じらせながら、彼の体に縋りつく。



「…勇、介…」


きっとあたしはこの瞳に捕えられた瞬間から、勇介を求めていたのだろう。


愛があるなんてありえない。


でも、愛しいと思った。


もっと深く、もっともっと深くまで、この人と繋がっていたかった。