「おはよ~」

私がスタジオ横の前室で台本を読んでいると、学さんが入ってきた。

「おはようございます!」

私は台本を置き、立ち上がって挨拶した。


「あの、先日はどうも……」

私が頭を下げると、学さんは一人掛けのソファに腰を下ろしながら、からかうように目を細めた。

「メール、返事くれなかったじゃん」


私はわざとふくれて見せた。

「ああいうのはやめてください。
セクハラで訴えますよ!」


くすくす笑う学さんに憤慨していると、今度は奏真君が部屋に入ってきた。

「うっす!」

「あ、おはようございます!」

私は慌ててふくらませた頬を引っ込め、笑顔で挨拶した。