アオの生真面目な性格のおかげで家の中はだいぶ片付いていたけれど、まだ割れた破片や木屑が散乱していた。

部屋の隅で休んでいるアオ達を起こさないよう気をつけながら、目星のものを手早く掻き集め、すぐに家を出る。

足早に戻ってきたリオにうららはホッとした顔を見せ、そんなうららの頭に手を置いてリオは笑った。

それから地面に腰を下ろし、今持ってきたものとそしていつも持ち歩いていたものを一緒に広げる。
隣りにそっと屈んだうららが、それらを覗き込んでおずおずと口を開いた。


「なにを、するんですか…?」

「おれ、いっこだけ…得意なものがあるんだ」


「得意なもの…?」

「うん。これだけは、身体が覚えてる。なにも考えなくても手が動いたし、そして出来上がったものを見ると…安心した。
…おれね、夜眠るのキライだから、夜は眠らない。だから授業中はほとんど寝てるんだよね。両親との約束だから学校には行ってるけど、学校は正直退屈でしかなくて。
だけどひとつだけ、好きなことがあった。おれ、手芸部なんだ。──だからこれだけは…得意なんだ」