『──いいかい、うらら。

迷子になったら、困ったことがあったら、帰り道を見失ってしまったら……
くつのかかとを3回、鳴らしてごらん。
想いを込めて……願いを込めて。
そうすればきっと、道は拓く

願いは叶うから──』


 ──それは、アメリカで生まれたおばあちゃんに教わった、魔法のおまじない。
 小さい頃からよく読み聞かせてもらった、童話になぞらえたもの。

 そうだ……おばあちゃんにもらった、あの銀色の靴……わたし、どこにしまったんだろう……。


 ずっとずっと昔から読み聞かせられた童話のように、この胸に深く息づくもの。
 その足跡を辿るように、誰にも邪魔されない夢をみる。

 夢の中はしあわせだと。

 そう、思っていた──