走る。

どこまでも続く、まるで天国へと続くような長い階段を、走る。

現在地上18階。

ここまで休む事なく階段を走り続けている。

…身体能力でいえば、エイプは人間よりも遥かに優れている筈だ。

スタミナ、瞬発力、持久力、敏捷性、筋力…あらゆる面において、エイプは人間よりも高い能力を持つ。

しかし。

「っ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…」

遂にティアが息を乱して立ち止まった。

「もう駄目…コウ…少し休ませて…」

膝に手をつき、下を向いて呼吸を整えようとする彼女。

だが残念ながら、それを認めてやる訳にはいかなかった。

「駄目だ!急げティア!」

俺は彼女の手を握り、強引に引っ張って階段を駆け上がった。