だけれど私の意志と反して、“拓海キャッスル”に滑り込んだランボルギーニ。



大袈裟なほどガタガタ震えてしまう手が、心のパニック具合を表している中で。



朝と同じく、跳ね上がるように開かれたドアが車外へ出ろと促してくる。




「蘭…、早く出ろ」


「っ…、は、い…」


ようやく口を開いた拓海の言葉も、逃げられないと釘をさすモノになって。



俯き加減のままで、鉛のように重い身体を動かす外なかったの…。




「行くぞ――」


「・・・・・」


その言葉にも返事をするコトも出来ず、無言のままに歩き始めたけれど。



とても彼の隣を歩けない私は、ワザと歩調を落として後ろに続いていた。





“プライド無しの軽い女”


グルグルと駆け巡る言葉が、折れそうな心を歪ませていく・・・



本当に私は…、拓海と結婚出来るのかな――?





グイッ――

立ち止まった私の腕を、強引に自分の許へと引き寄せた拓海。




「何してるんだ、行くぞ!」


「っ・・・」


射るような鋭い視線と怒気を含んだ声色が、グサリと胸を貫いた。